ルパン三世に求めるのは、やっぱり”こうありたいと思わせるような男の色気”だよな。
たとえば生き様だとか拘りや美学、そういうのを投影できるのが痛快なんだ。
ルパンも実は相当ハードボイルドでミステリアスだったりして格好いいんだけど、そのルパンが最も信頼を置く次元こそ、私の中で一番カッコイイ男というコトになってる。情に厚いし。髭モジャだし。
世界広しといえど、ルパンの”相棒”は次元たった一人というのもポイントだ。五右衛門は仲間。(元々は敵だった)
ルパンが花形役者だとすれば次元は徹底して裏方。片やナンパで片や硬派。いいコンビなのだ。
ファミリーの中でも最古参で、どちらかといえば友人というより長年連れ添った夫婦のような信頼関係があると思う。
昔のTVシリーズで(映画だったかもしれない)私の大好きなシーンがあり、それがこういうモノだった。
いつも危険な場所を飛びまわってるルパンと次元だが、今回こそ絶体絶命の危機が訪れる。~中略~
しかし偶然にも生き残った二人。呆然としながら、お互い目を合わせる。次の瞬間、二人とも腹を抱えて大笑いする。
……こう書くと割りとありがちな一コマだけど、このシーンが強烈に印象的だったのは、お互いに「死にかけたな、怖かったな」と言わんばかりに奇妙な笑い声を上げてた部分なのだ。
この瞬間からルパンも次元も「死の恐怖を感じないスーパーマン」ではなく、「一人の人間」として認識するようになる。
そうなって来ると、いよいよハードボイルドに磨きがかかってくる。
いつ死ぬかもしれない絶望的な状況で、ニヤっと笑いながらジョークや軽口を叩く。たまらない。
新TVシリーズの4話でも、銃を持ったマフィアに丸腰で囲まれる場面で「ダンスフロアにしちゃ随分カビ臭ぇ場所だな。野郎とチークダンスは御免だぞ」とのたまう。しびれる場面だ。
そして同話の中で「花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ」とさらっと呟く。
昭和の文豪・井伏鱒二による名訳だが「今が良ければいいのさ、人はすぐにお別れするから」といった意味だ。次元が言うとなんともロマンチックで味わい深い。
……というしょうもないコトを真剣に考えたコトがある。(以下どうでもいい考察なので読み飛ばし推奨)
結論から言うと、早撃ちではゴルゴ13だろう。次元のほうがコンマ数秒早い回もあったかもしれないが、いかんせん安定しないコトが多い。(あくまで”どちらの銃弾が早く相手に到達するか”という話であって、回避モーションに入るまでのラグを計算していないので、相撃ちになる可能性が高い)
遠距離では……狙われたほうが負ける。スナイプはどちらも凄腕で、まず気配など感じないのでドローだ。
しかし総合的には、次元かなと思う。どんな場面でも桁外れに悪運の強いルパンシリーズ特有のアトモスフィアがここで生きてくると思う。さらにルパンや五右衛門が参戦する可能性も高く、シリアス一直線の孤独なゴルゴからすれば、これ以上の強敵は居まい。
初期メンバーの声優も、とうとう次元だけになってしまった。
最新のTVシリーズを見る限り、大声を出すようなシーンでは昔のハキハキした声のキレが無くなってしまってると感じるのは仕方ないかもしれないが、「ああ、いつもの次元だ」と安心するのも事実だ。
初期だから良いというのではなく、あの声は小林清さんしか出せないのだ。
本人も駄目になったら自分からやめると言っておられるようだし、最後まで応援するべきだなと思った。義理堅さも、まるで次元そのものだ。
関連リンク:アニメ「ルパン三世」公式サイト
全く関係ない話だけど、Googleの検索欄に「斜め」と入力すると、画面全体が傾くようになってて笑った。
あらすじを斜体にしようと思って発見した。遊び心あるなあ。